東京高等裁判所 平成10年(け)19号 決定
被告人 志田直俊
〔抄 録〕
本件異議申立ての適否について検討するに、刑訴規則二五九条により上告審としての事件受理の申立てを棄却した決定に対しては、刑訴法四一四条、三七五条の準用により、同法四二八条二項による即時抗告に代わる異議申立てをすることができるものと解される。そして、関係記録によれば、被告人は、平成一〇年一〇月一五日、原決定の決定書謄本の送達を受け、同月一六日(金曜日)、本件異議申立書をその勾留場所である東京拘置所庶務課に提出し、同月一九日(月曜日)、右異議申立書が当裁判所に到達したことが明らかである。したがって、本件異議申立ては、右即時抗告に代わる異議申立ての期間内に行われた適法な異議の申立てということができる。
《中略》
刑訴規則二五八条の三第一項は、上告審としての事件受理申立ての理由書の差し出し期間について、申立人が控訴審における判決書謄本の交付を受けてから一四日以内と定めているところ、刑訴法及び刑訴規則は、必要的弁護事件につき被告人が上告審としての事件受理の申立てをした場合において、弁護人がいないときであっても、そのことを理由として右理由書の差し出し期間を延長することを想定していないものと解される。また、同規則二三六条一項は、控訴裁判所が控訴趣意書を差し出すべき最終日を指定したときにこれを控訴申立人に通知することを義務付けた規定であって、同規則二五八条の三第一項が期間を法定している事件受理申立ての理由書の差し出しについて、同規則二三六条一項を準用する余地はない。そうすると、本件においては、事件受理申立ての理由書が刑訴規則二五八条の三第一項所定の期間内に差し出されなかったのであるから、同規則二五九条により、本件事件受理の申立てを棄却すべきことは明らかである。
(松本時夫 中谷雄二郎 高橋徹)